News / Nunn Road / 2006 / No.J156 12th Dec. 2006

 2006年も残すところあとわずかになりました。皆様方の一年は、いかがでしたでしょうか?異国マレーシアでたくさんの素晴らしいご経験をされたことでしょう。

 50名の子供たちが一緒に生活するナニア園でもいろいろなことがありました。それぞれの行事を通し、日々の活動を通し、生き生きと過ごし日に日に成長していっている子供たち。

 いつも我々保育者の心を打つものは、彼らの小さな存在へのやさしさ、思いやりです。小さい子が入園したら「お話の時の私の隣の席は小さい子」「おやつや 食事の時の先生の隣の席は小さい子」と彼らの中で自然にお約束を作ってくれます。又、カバンを持ってあげたり、靴を履かせてあげたり、着替えを手伝った り、そして大きい子が腰をかがめて小さい子にやさしく話をしてくれたり、心がとても暖かくなります。又、小さな動物のおもちゃがケガをしたら心配してくれ たり、小さなありや虫が弱っていたら葉っぱの所にもって行ってくれたり、大人だったら簡単に見逃してしまうことも彼らは見逃しません。又、病気の子がいた ら、必ずノームさん、動物のぬいぐるみたちがその子の側で見守るように並んで寝ています。

 一生懸命 ほかのもののことを考えながら、小さな手を動かしている彼らの姿を見ながら、自分も忘れてはいけない姿だと反省します。

 今彼らは「I hope my wish will come true」と言ってクリスマスの会に向け、一生懸命お祈りをしています。彼らの願いがかない、たくさんの人が幸せな笑顔で過ごせる年、そういう2007年であって欲しいと心から願っています。

 皆様方も、どうぞよいお年をお迎えください。

一月の行事予定
 3日  新年度スタート
 16日 ろおくんお誕生会
 26日 中国正月の会*
 29日 ゆかちゃんお誕生会

 *中国正月の会は少し早いのですが、次の卒園の会に必要な準備の期間を考えて1月にもってきました。

ナニアの庭には朝顔、オクラ、ロングビーン、ピーナッツ、小豆が実をつけたりきれいな花を咲かせたりしています。ある男の子が家から持ってきた小豆をまいて、見事に小豆ができたのにはびっくりしました。

先月号で紹介したサンバードは自分が作った巣の中で卵を温めています。

毎 日、昼食時、ホールに飾ってある「star windows」の窓をひとつずつあけています。それから動物たちやノームさんも毎日3人ずつ交代でクリスマスのテーブルの上に置き、みんなでクリスマス の会を待っています。15日、皆様方にお会いできますこと楽しみにしています。

毎週月曜日、仕事を終わった後5時から6時までナニアの先生たちと一緒に本を読んで勉強会を持っています。今読んでいる本は「The Incarnating Child」子どもが精神界から生まれてきてどのような発達を遂げていくかと言うことを0歳から詳細に見ていくものです。少し前に話し合った脳の発達の内容が最近気になっていたことと重なったのでご紹介します。

 子供たちが生まれてきてから、いろいろな活動、経験を通して脳は徐々に発達していきます。まず最初に発達するのは、感情、動きに関係する右脳の部分で す。はいはい、高ばい、よちよち歩きなどのいろいろな動きや、幼稚園児がする自然のおもちゃでの創造的な遊びは、すべて脳の健康的な発達に影響します。だ から、立ち上がることを急がせたり、歩行器に入れたり、早期知的教育をさせることは、この自然な脳の発達に逆らうことになります。知的なものに関係する左 脳が発達し始めるのは、6・7歳からです。ですから、歯が生えかわり、小学生になった頃、知的学習に取り組むことができるようになります。

 健康的に発達する脳の細胞は、それぞれが結びつき、もっと脳を発達させていきます。とても大切なことは、その活動が最も行われる時期は11歳頃までとい うことです。11歳までの子供たちの脳は、とても柔軟でたくさんのことを学ぶことができます。脳が発達する可能性が最もある時期なのです。

 でも、この時期ビデオゲームばかりしている子供たちの脳の細胞は健康的に発達しません。11歳までに発達しなかった脳の細胞は11歳頃に壊され、それ以 後どんなに発達させようと思っても以前のように簡単に行かないという事実が言われています。私はこの脳の本、「The biology of transcendence」(Joseph Chilton Pearce著)を読んだ時、とてもショックを受け、正直怖くなりました。というのも、今の世の中の多くの子供たちがゲームに没頭し、それと同時に「ゲー ムの害」ということがたくさん言われていても、それがすぐに目の前で害として現れないので、大人は深刻なことと思っていないということです。

 シュタイナーは人生7年周期説の中で、7歳までの子供たちは体が育つ時期、7~14歳の子供たちは感情を形成する時期、14~21歳は独自の思考を育て る時期だと言っています。7歳までの体が育つ時期に思い切り遊び想像力を働かせることができると人生の大切な基盤を作ることができます。そして7~14歳 の子供たちは尊敬に値する大人のもとで、友達と関わりあっていろいろなことを学びます。ゲーム機はそういう尊敬に値する大人に変われないし、子供同士の健 康的な係わり合いの場も作ってくれません。7~14歳の感情の発達は14~21歳の思考の発達に影響し、21歳以降の心魂、精神の発達に大きく影響しま す。小さい頃にされる活動は「三つ子の魂百まで」と言われるように、全人生に大きく影響するということです。大人になっ困難にあっても負けず、お互いに助 け合い、健康で生き生きとした人生を送れるかどうかは、すべて子供時代からのことです。

 我々大人が子供時代の頃と比べて、今の子供たちの時代は全く違います。自然がなくなり体を動かすためには「○○クラブ」に行き、大人が考え出したありと あらゆるおもちゃ、ゲーム製品で遊ぶ時代、そういうおもちゃを持っていないと友達と遊べないとか、中にはゲームセンターに通う子もたくさんいるという話を 聞きました。残念ながら本当に子供たちがしたいこと、すべきことは、そこにはありません。

 そういう時代ですから、育てる側の親の立場もとても大変だと思います。放っておいたら、子供たちが自然に健康的に育った昔に比べて、今は次から次へとあ ふれる情報、刺激、物品から、子供たちにふさわしいものを選択し、子供たちをそういう意味で守らなければいけない時代、だからこそ身近にいる親、教師の考 え方、生きる姿勢は大きく子供たちに影響するように思います。

 子供たちの健やかな成長を祈る大人の1人として、上記のことをご紹介しました。もしご質問などありましたらどうぞご連絡ください。

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