News / Nunn Road / 2008 / No.J182 10th Dec 2008

 2008年も残すところあとわずかになりました。皆様方の一年は、いかがでしたでしょうか?異国マレーシアでたくさんの素晴らしいご経験をされたことでしょう。

 50名の子供たちが一緒に生活するナニア園でもいろいろなことがありました。それぞれの行事を通し、日々の活動を通し、生き生きと過ごし日に日に成長していっている子供たち。

 いつも我々保育者の心を打つものは、彼らの小さな存在へのやさしさ、思いやりです。小さい子が入園したら「お話の時の私の隣の席は小さい子」「おやつや 食事の時の先生の隣の席は小さい子」と彼らの中で自然にお約束を作ってくれます。又、カバンを持ってあげたり、靴を履かせてあげたり、着替えを手伝った り、そして大きい子が腰をかがめて小さい子にやさしく話をしてくれたり、心がとても暖かくなります。又、小さな動物のおもちゃがケガをしたら心配してくれ たり、小さなありや虫が弱っていたら葉っぱの所にもって行ってくれたり、大人だったら簡単に見逃してしまうことも彼らは見逃しません。又、病気の子がいた ら、一生懸命お祈りしたり、ノームさんにお願いしたり、プレゼントを作ってくれます。そしてその子が元気になって帰ってきたら、本当に大喜びしてくれるん です。

 一生懸命 ほかのもののことを考えながら、小さな手を動かしている彼らの姿を見ながら、自分も忘れてはいけない姿だと反省します。

 今彼らは「I hope my wish will come true」と言ってクリスマスの会に向け、一生懸命お祈りをしています。彼らの願いがかない、たくさんの人が幸せな笑顔で過ごせる年、そういう2009年であって欲しいと心から願っています。

 皆様方も、どうぞよいお年をお迎えください。

1月の行事予定
  5日 新年度スタート
  8日 Mijちゃんのお誕生会
 16日 ろおくんのお誕生会
 23日 中国正月の会
 26日~29日 中国正月休み

毎週月曜日、仕事を終わった後、5時から6時までナニアの先生達と一緒に本を読んで勉強会を持っています。今読んでいる本は「The Incarnating Child」子供が精神界から生まれてきて、どのような発達を遂げていくかということを0才から詳細にみていくものです。少し前に話し合った脳の発達の内容が最近気になっていたことと重なったのでご紹介します。

 子供達が生まれてきてから、いろいろな活動、経験を通して脳は除々に発達していきます。まず最初に発達するのは感情、動きに関係する右脳の部分です。は いはい、高バイ、よちよち歩きなどのいろいろな動きや、幼稚園児がする自然のおもちゃでの創造的な遊びは、すべて脳の健康的な発達に影響します。だから、 立ち上がることを急がせたり、歩行器に入れたり、早期知的教育をさせることは、この自然な脳の発達に逆らうことになります。知的なものに関係する左脳が発 達し始めるのは、6・7才頃からです。ですから、歯が生えかわり、小学生になった頃、知的学習に取り組むことができるようになります。

 健康的に発達する脳の細胞は、それぞれが結びつき、もっと脳を発達させていきます。とても大切なことは、その活動が最も行われる時期は11才頃までとい うことです。11才までの子供達の脳は、とても柔軟でたくさんのことを学ぶことができます。脳が発達する可能性が最もある時期なのです。

 でも、この時期、ビデオゲームばかりしている子供達の脳の細胞は、健康的に発達しません。11才までに発達しなかった脳の細胞は11才頃に壊され、それ 以後どんなに発達させようと思っても、以前のように簡単にいかないという事実が言われています。私は、この脳の本 「The Biology of Transsendence」byJoseph Chilton Pearce を読んだとき、とてもショックを受け、正直怖くなりました。というのも、今の世の中多くの子供達がゲームに没頭し、それと同時に「ゲームの 害」ということがたくさん言われていても、それがすぐに目の前で害として現れないので、大人は深刻なことと思っていないということです。

 シュタイナーは、人生7年周期説の中で、7才までの子供達は体が育つ時期、7才~14才の子供達は感情を形成する時期、14才~21才は独自の思考を育 てる時期だと言っています。7才までの体が育つ時期に思いっきり遊び想像力を働かせることができると人生の大切な基盤を作ることができます。そして、7才 から14才の子供達は尊敬に値する大人のもとで、友達とかかわり合っていろいろなことを学びます。ゲーム機はそういう尊敬に値する大人に変われないし、子 供同士の健康的なかかわり合いの場も作ってくれません。7才から14才の感情の発達は、14才から21才の思考の発達に影響し、21才以降の心魂、精神の 発達に大きく影響します。小さい頃にされる活動は、「三つ子の魂百まで」と言われるように、全人生に大きく影響するということです。大人になって困難に 遭っても負けず、お互いに助け合い健康で生き生きとした人生を送れるかどうかは、すべて子供時代からのことです。

 我々大人が子供時代の頃と比べて、今の子供たちの時代はまったく違います。自然がなくなり体を動かすためには「○○クラブ」に行き、大人が考えだしたあ りとあらゆるおもちゃ、ゲーム製品で遊ぶ時代、そういうおもちゃを持っていないと友達と遊べないとか、中にはゲームセンターに通う子もたくさんいるという 話を聞きました。残念ながら、本当に子供達がしたいこと、するべきことはそこにはありません。

 そういう時代ですから、育てる側の親の立場もとても大変だと思います。放っておいたら、子供たちが自然に健康的に育った昔に比べて、今は次から次へとあ ふれ出る情報、刺激、物品から、子供たちにふさわしいものを選択し、子供たちをそういう意味で守らなければいけない時代。だからこそ身近にいる親、教師の 考え方、生きる姿勢は大きく子供たちに影響するように思います。

 子供たちの健やかな成長を祈る大人の一人として、上記のことご紹介しました。もしご質問などありましたらどうぞご連絡ください。

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