News / Nunn Road / 2007 / No.J169 10th Dec. 2007
2007年も残すところあとわずかになりました。皆様方の一年は、いかがでしたでしょうか?異国マレーシアでたくさんの素晴らしいご経験をされたことでしょう。
50名の子供たちが一緒に生活するナニア園でもいろいろなことがありました。それぞれの行事を通し、日々の活動を通し、生き生きと過ごし日に日に成長していっている子供たち。
いつも我々保育者の心を打つものは、彼らの小さな存在へのやさしさ、思いやりです。小さい子が入園したら「お話の時の私の隣の席は小さい子」「おやつや
食事の時の先生の隣の席は小さい子」と彼らの中で自然にお約束を作ってくれます。又、カバンを持ってあげたり、靴を履かせてあげたり、着替えを手伝った
り、そして大きい子が腰をかがめて小さい子にやさしく話をしてくれたり、心がとても暖かくなります。又、小さな動物のおもちゃがケガをしたら心配してくれ
たり、小さなありや虫が弱っていたら葉っぱの所にもって行ってくれたり、大人だったら簡単に見逃してしまうことも彼らは見逃しません。又、病気の子がいた
ら、一生懸命お祈りしたり、ノームさんにお願いしたり、プレゼントを作ってくれます。そしてその子が元気になって帰ってきたら、本当に大喜びしてくれるん
です。
一生懸命 ほかのもののことを考えながら、小さな手を動かしている彼らの姿を見ながら、自分も忘れてはいけない姿だと反省します。
今彼らは「I hope my wish will come true」と言ってクリスマスの会に向け、一生懸命お祈りをしています。彼らの願いがかない、たくさんの人が幸せな笑顔で過ごせる年、そういう2007年であって欲しいと心から願っています。
皆様方も、どうぞよいお年をお迎えください。
1月の行事予定
7日 新学期スタート
10日 アワルムハラムでお休み
16日 ろおくんのお誕生会
17日 あやなちゃんのお誕生会
23日 タイプーサムでお休み
26日 Kuih Kapit焼きの日(希望者のみ)
28日 ゆかちゃんのお誕生会
先月号でお知らせしましたように、年末の配線工事、ペンキ塗り替えのため、新年度は7日からです。2~5日までスタッフ全員ナニアで仕事をしています。
お
母様方とお話しする中、「どうしてナニアではきちんと片づけをして、家ではしないのでしょうか?」とか「いくら行って聞かせたり叱ったりしても言うことを
聞かないんです」と言うことを何度もお聞きしました。多かれ少なかれ、皆さん共通の話題だと思いますので、ナニアでの対処の仕方と合わせて気付いたことを
お伝えしたいと思います。
小さい子供達は、大人の行動、心の持ちようすべて模倣して生活します。大人が「いい」と言ったら、小さい子供は「そうだ、いいことだ」と信じます。大人が目の前ですることもすべていいことだと思って真似します。
例えば大人が小さい子の前でありなどの小さな虫を殺したら、子供たちも当然のことだと思って同じことをします。逆に大人が「小さな虫にも大切な命がある
んだ」と言う態度でいつも虫たちに接していたら、自然に彼らもそういう気持ちを持ち備えます。小さい子は精神界(すべて一つで自己と他の区別がない)から
降りてきたばかりなので、そういうものを自然に持ち合わせ、それを大切にする大人に会うと、彼らの持ち合わせたものがもっと大きくふくらみ彼らの魂を豊か
にします。ナニアではゴキブリも見つけたらティッシュでそっとくるみます。そして彼らは私がどうするか、ずっと後ろをついてくるので、私はそれをそっと外
へ持って行き「さあ、お父さんとお母さんの所へ帰ってね」と逃がす格好をします。「おうちに帰って行ったね」と納得しながら保育室へ帰っていく子供たちを
見送った後で、私はそっとそれを処分します。(大きくなるにつれてゴキブリは衛生的でないものというのを理解するようになりますが、6歳までの柔軟な時期
には頭での理解より、心のやさしさを育てる方が大切だからです)
又、小さい子はこの世に生まれてきてこの世界のことを色々試してチェックしています。だから、あり達を捕まえて「はっぱのボートに乗せてあげる」などと
言って水に入れて、溺れさせたり、押さえたり、たたいたりして動かなくさせたり、などいろいろします。そういう時、大人が「痛いんだよ」とか「お墓を作っ
てあげようね」と言ったら、彼らは納得して、一生懸命お墓をお花で飾ったり、小さな手を合わせます。そうやってカルチャー作り、お約束作りはすべて大人か
らできるんです。
でも逆に、その空間でカルチャー作り、お約束作りをきちんとしないで、子供が何か「悪いこと」「都合が悪いこと」をした後、叱るだけだったら、「子供は
言うことを聞かない」「大人は腹が立つ」の悪循環になってしまいます。ナニアには遊んだ後はおもちゃ達も家に帰る=片づけをすると言うお約束があります。
片づけをしない子がいたら「○○ちゃんも遊んだら、家に帰るよね。だからおもちゃも家に帰してあげようね。そういうお話したよね」とその約束を思い出させ
ます。そしてその子が、片づけを始めたら「ありがとう。おもちゃさんたち嬉しそうだね」と励まします。又、わかっていてもわざと片づけしないような時は
「Time Out」の場所にしばらく行ってもらって、他の子供たちが片付けている姿を見てもらいます。そして、ここがゴミだらけだったら、明日また来て
遊べないと言うことも話します。そうしたら、1人ずつ片づけを始めます。それから、前に、全く片付けが進まないという時もありました。その時は、3人の先
生全員、子供たちに「さようなら」を言って保育室を出て行く格好をしました。そして「お約束があるのに、みんなは守っていません。ここはみんなのお部屋で
す。自分達できれいにして下さい。そして片付いたら年長さんたちは先生達に言ってきてください」とだけ告げました。次の瞬間、全員ノームたちのように動き
出してあっという間に片付けてしまったんです。大人が怖い顔で叱って、子供たちが納得して自分達の意志で片付けを始めるということは、まずありません。逆
に、どうしたら彼らの意志で動き出すかと言うことを考えた上での対処の仕方だったら、子供達は喜んで物事をします。そういうことを繰り返す間に片付けも遊
びの延長として自然にできるようになり、遊び方も上手になります。
友人関係で、「仲間に入れない」とか「○○ちゃんは来ちゃだめ」とか言うのも、そうやって彼らはソーシャルなことを学んでいるんです。大人がそういうこ
とを見たときはその場でアドバイスしてあげることが大切です。ナニアでは「仲間に入っちゃだめ」というのを聞いたら、すぐ「みんな仲間だよ。入っていい
よ」と言います。もしそれが続くようだったら、「では、そういうお友達はここから出てください」とも言います。少人数を集まらせてミーティングを持つこと
もあります。また、帰りのお魚さん人形に今日のことを話す時、それを持ち上げることもあります。全体で話し合いをすると、効果的です。子供の純粋な世界の
こと(笑う、泣く、喜ぶ、悲しむ、怒るすべて)を学びとらないで逆に「いじめ」ではなどと大人が心配し始めると逆効果です。
ご家庭では、親と子が一対一だったり、兄弟姉妹と少人数ですけど、それでも一緒に話し合い、約束作りをすることはできると思います。ナニアではノームさ
んが病気の子、怪我をした子のため、又、大きい声で話す時「ノームさんがお耳が痛いと言っているよ」とよく登場しますが、そういうものを使っても、想像力
が豊かな彼らの心をいい方向に刺激します。本当に大人と子供は全く違うんです。大人は頭で考えて、抽象的なことを話し合うことができますが、彼らはできま
せん。そういう接し方をすると、彼らを疲れさせ、もっと言うことを聞かなくさせてしまいます。
以上のこと、何かのお役に立てたらと思います。